万華堂みや子の明治大正レトロ日記

明治・大正ロマンやオールド上海などの昔のこと

昭和の結婚

こんな本を読みました

昭和の結婚

昭和の結婚 (らんぷの本)

昭和の結婚 (らんぷの本)

 

 昭和初期の結婚衣装や髪型の参考にと読んでみたのですが、面白かったのが結婚した女性の家庭でのふるまいやたしなみに関する雑誌の記事。

「家」制度が残る昭和初期の結婚を「凱旋無き出征」と例えているのが印象的でした。女性は徹底的に家長である夫と、そのお母上様を立てる必要があるのです。

 

朝は夫を起こさないよう静かに起き、食事の準備や掃除を済ませ、夫の気を悪くさせないように優しく起こします。
さらにこれまた夫の気を悪くさせないようそれとなく帰宅時間の目安を確認し、妻はそれに合わせ食事の支度や雨が降った場合のお迎えなどの計画を立てます。
更に私を驚愕させたのが、雨が降り夫を駅まで迎えに行ったときには「お母様がご心配なさっていたからお迎えに上がりましたのよ」と姑を立てる言葉も忘れないところ!

夫が帰る頃に暗い顔なんかしていてはいけません。太陽に咲くひまわりのごとくピカピカ幸せそうな満面の笑みで夫を明るく迎えなくてはいけません。夫が玄関のドアを開ける時には、うれしくて小走りになってしまった風を装って「お帰りなさいまし!」と駆け寄ります。

 

そうしてまさに長い戦争に向かったかのごとく忍耐と努力の日々を過ごし、徐々に夫を手なずけるのが家庭の主婦のやり方なのです、と締められていました。

 

適度に無知に、常に夫の都合に合わせ、夫には従い自分の要求は口にせず、でもしたたかに、明るく。そんな女性が昭和初期の理想の奥様なようです。