万華堂みや子の明治大正レトロ日記

明治・大正ロマンやオールド上海などの昔のこと

のらくろ 大正昭和の日本人をとびきり楽しませた、漫画家 田河水泡さん

アンパンマンの作者、やなせたかしさんがお亡くなりになりました。
とても悲しいですが、目の前の人どころか、日本中の人を楽しませ勇気を与えた方に感謝の気持ちです。


さて、やなせたかしさんと同じく漫画家の田河水泡さんです。
昭和の初めから昭和を通して空前の大人気となった「のらくろ」の作者です。


やなせたかしさんは、志がしっかりされていて、自分より人のため、という意識があり、またひょうきんで明るいイメージがありますが、のらくろ田河水泡さんもとても似ていると思いました。

下記サイトで紹介されている、田河水泡さんの妻・高見沢潤子さんの著作からの引用をします。

http://www.yamatocalvarychapel.com/special/stonepillow_199x/920802.html

のらくろという犬はとてもおっちょこちょいで、あわてんぼうで失敗ばかりしている。失敗ばかりして、自分で損をしたり、叱られたりしょげてしまうのですけれど、いくらしょげてもすぐに忘れて、また何かをやろうという、いつでも前向きの姿勢です。

私から申し上げるのはおかしいのですが、それが田河の性格なのです。のらくろは本当に田河と同じ性格です。自分がどんな損をしても、どんなに失敗しても、いつまでもいつまでもそれを考えていないのです。すぐにそれを忘れてしまって、もっと良い方向にいこうとする。失敗して、今悲しいけれどもこんなものよりも何かもっと良い出口があるだろうと、すぐに考えてやる人なのです。

ですから私は結婚してもう五十年以上も経つのですが、田河は一度も不平不満の顔をしたことがありません。本当に「あー、嫌だ」とか「自分はこんな損をしてもう起きあがれない」などの不平の顔は見たことがありません。

 

その性格は、「私の履歴書」を読んでもひしひしと伝わってきます。
田河水泡さん本人が書かれている文章なので、これまでの人生の出来事やその時の心情を述べているだけで客観的な評価などは書かれていないのですが、それがもう、とても豊かで快活で、読んでいるこちらまで元気になる気がします。文章全体が田河水泡さんを表しているような。

本に掲載されている写真からも、そのほとんどが心からの満面の笑顔。仕事から、生活から、何もかも楽しんでいるという顔をしています。

田河水泡さんは、色々考えるよりも先に、子供がいたら楽しませる、人がいたら喜ばせる、自分もそれで幸せになる、という考え方だったのではないかと思います。
またひょうきんで、落語などのおかしな話も好きで落語作家になったこともありました。(代表作に「猫と金魚」)

なんとも魅力的な人ではありませんか!